
オフィスはちやのコラムページ
事業課題に関するのトピックスをお届けします
「従業員を守る経営」が飲食店を強くする
ーカスタマーハラスメント対策の重要性ー
中小企業診断士の八矢 伸之です。
初めてのコラム挑戦です。暖かく見守ってください。
近年、飲食業界で深刻化している課題の一つが「カスタマーハラスメント(カスハラ)」です。
厚生労働省の調査では、過去3年間に「カスハラを受けた」と回答した労働者は全体の約1割。中でも、接客を伴う飲食業では被害件数が特に多く、現場の深刻な疲弊を招いています。
東京都では令和6年10月に「カスタマー・ハラスメント防止条例」が成立し、事業者には防止措置を講じる責任が求められるようになりました。もはや『お客様第一』を理由に従業員を犠牲にする時代ではありません。
カスハラとは、顧客からの暴言や脅迫、土下座の強要、過度なクレームなど、従業員の尊厳を傷つける行為を指します。飲食店の現場では、例えば以下のようなケースが挙げられます。
○提供した料理が注文と違うとして大声で怒鳴られ、胸ぐらをつかまれる
○「味が悪い」と土下座での謝罪を要求される
○混雑時に料理提供が遅れたことをSNSで誹謗中傷される
○「店員の態度が気に入らない」と勤務シフトや解雇を要求される
○飲酒客が従業員にしつこく絡んだり、身体に触れる行為をする
これらは、いずれも「お客様の意見」ではなく、従業員の就業環境を害する『迷惑行為』です。
一方で、すべてのクレームが悪ではありません。商品やサービスへの正当な指摘は改善のチャンスでもあります。重要なのは、従業員が「どこまでが対応すべきクレームで、どこからがカスハラか」を明確に理解し、組織として守る体制を整えることです。
私がカスハラの関係でご支援している企業様のカスハラ対策マニュアルでは、現場の従業員が冷静に行動できるよう、具体的な手順を定めています。
初期対応では、「相手の気持ちを傾聴する」「誠実に対応する」「限定的に謝罪する」「必要に応じて上司に交代する」「複数人で対応する」などを原則とし、従業員が一人で抱え込まないようにしています。
また、暴力や脅迫が見られる場合には、対応を打ち切り、警察へ通報する明確なルールも設けています。曖昧さを排除することで、従業員の不安が大幅に軽減されます。
さらに、社内では相談窓口を設置し、被害を受けた従業員のメンタルケアや再発防止研修を実施することとしており、加えて、弁護士や中小企業診断士などの外部専門家とも連携し、客観的な視点からの助言を受けられる体制を構築しています。
こうした取り組みが、「従業員を大切にしている会社」という信頼を生み、採用や定着率の向上にもつながります。
カスハラ対策は、単なる防御策ではなく「企業ブランドを守る経営戦略」です。
従業員が安心して働ける環境があるからこそ、笑顔の接客と安定したサービス提供が実現します。
お客様と誠実に向き合いながら、理不尽な要求には毅然とした態度で臨む。そのバランスを取ることが、これからの飲食店経営に求められています。
まずは、自社の方針として「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を掲げ、社内外に明示することから始めましょう。
そして、実際のマニュアル整備、研修、相談体制の構築を通じて、従業員を守りながらお客様と共に歩む『信頼される飲食店』を目指していきましょう。
オフィスはちやでは、実際に苦情を受けた経験を活かしてカスタマーハラスメント対策のコンサルティングを行っております。
ご興味のある方はぜひ、お問合せください。
